今回は本当に最終回です!
◆振り返ってみる
これまで9編にわたって「固定資産税課税」についてお話してきました。今さらながら、目次です。
Vol | 内容 | リンク |
1 | はじめに、全体像 | https://comuin.com/2019/10/27/post-501/ |
2 | 仕事のやりがい | https://comuin.com/2019/11/05/post-599/ |
3 | 納税義務者 | https://comuin.com/2020/12/31/post-1398/ |
4 | 納税の告知 | https://comuin.com/2021/01/03/post-1416/ |
5 | 税額計算1(土地評価) | https://comuin.com/2021/02/23/post-1449/ |
6 | 税額計算2(課税標準額等) | https://comuin.com/2021/03/09/post-1489/ |
7 | 非課税、特例、軽減、減免 | https://comuin.com/2021/03/12/post-1499/ |
8 | 不服申立て、課税誤り | https://comuin.com/2021/03/24/post-1505/ |
9 | 都市計画税、守秘義務と情報開示 | https://comuin.com/2021/03/24/post-1509/ |
◆これから理解を深めるために
いかがだったでしょうか。「固定資産税課税」について、少しでもイメージが湧いてきたでしょうか。お読みいただいた方の中には、これから、本格的に業務に携わる方もおられると思います。そのような方に向けて、これからより理解を深めるためのステップを提案して、まとめとしたいと思います。
1.条文を引きながら読む
もう一度、Vol.1から読み直していただけると嬉しいです。その際、条文を引きながら読むことを強くお勧めします。ちなみに、条文の読み方の最大のコツは、最初はカッコを読み飛ばすことだと思います。法387条3項の例です。
”市町村長は、納税義務者から第三百八十二条の二第一項の規定による求めがあつたときは、土地名寄帳又は家屋名寄帳に固定資産課税台帳の登録事項と同一の事項が記載(当該土地名寄帳又は家屋名寄帳の備付けが前項の規定により電磁的記録の備付けをもつて行われている場合にあつては、記録。次項において同じ。)をされている場合に限り、同条第一項の規定により当該納税義務者の閲覧に供するものとされる固定資産課税台帳又はその写しに代えて、土地名寄帳若しくはその写し(当該土地名寄帳の備付けが前項の規定により電磁的記録の備付けをもつて行われている場合にあつては、当該土地名寄帳に記録をされている事項を記載した書類。次項において同じ。)又は家屋名寄帳若しくはその写し(当該家屋名寄帳の備付けが前項の規定により電磁的記録の備付けをもつて行われている場合にあつては、当該家屋名寄帳に記録をされている事項を記載した書類。次項において同じ。)を当該納税義務者の閲覧に供することができる。”
カッコを飛ばして読んでみましょう。
”市町村長は、納税義務者から第三百八十二条の二第一項の規定による求めがあつたときは、土地名寄帳又は家屋名寄帳に固定資産課税台帳の登録事項と同一の事項が記載(当該土地名寄帳又は家屋名寄帳の備付けが前項の規定により電磁的記録の備付けをもつて行われている場合にあつては、記録。次項において同じ。)をされている場合に限り、同条第一項の規定により当該納税義務者の閲覧に供するものとされる固定資産課税台帳又はその写しに代えて、土地名寄帳若しくはその写し(当該土地名寄帳の備付けが前項の規定により電磁的記録の備付けをもつて行われている場合にあつては、当該土地名寄帳に記録をされている事項を記載した書類。次項において同じ。)又は家屋名寄帳若しくはその写し(当該家屋名寄帳の備付けが前項の規定により電磁的記録の備付けをもつて行われている場合にあつては、当該家屋名寄帳に記録をされている事項を記載した書類。次項において同じ。)を当該納税義務者の閲覧に供することができる。”
読みやすくなりましたよね?
2.「固定資産税のしおり」を読む
おそらく、初任者の手元には「固定資産税のしおり」(資産評価システム研究センター発行)があると思います。ただ、このしおりが恐ろしく読みにくいんですよね。(私がこれを書き始めた理由は、最初に読んで概観が分かるものを残しておきたいという思いでした!)
しかし、「固定資産課税というお仕事」を読まれた方であれば、ある程度は「しおり」も読めるようになっているはず! 窓口対応でも利用するであろう小冊子ですので、何が書かれているのか、いま一度読み流してみましょう。
ちなみに本稿では取り上げませんでしたが、しおりの最終ページにある「(参考)土地や建物などにかかる税金には、次のようなものがあります」は、窓口業務でよくお示しした記憶があります。
※「固定資産税のしおり」は資産評価システム研究センターのホームページよりダウンロードできます。→https://www.recpas.or.jp/new/jigyo/report_web/menu2.html
3.地方税法を読む
業務が落ち着く夏頃に、是非、地方税法の条文(通則と固定資産税)を読んでいってほしいと思います。あわせて税条例も確認するとよいでしょう。ちなみに、私が在籍していたとき、係員全員で通読しました。
4.固定資産評価基準を読む
これも恐ろしく読みにくいのですが、避けては通れません。各自治体でさだめている「評価要領」と合わせて、一読することをお勧めします。しかし、私は土地担当だったということで、家屋は通読レベル、償却資産はほとんど読んでいません。。。ちなみに、土地の章を読むだけでも骨が折れるところですが、土地の章の読み方にはコツ(読む順番)があります。お知りになりたい方はコメントいただくなり、Facebookでご連絡いただければ、お答えするように致します。
※固定資産評価基準は総務省のホームページよりダウンロードできます。→https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/ichiran13/ichiran13_00.html
◆さいごに
私は公務員人生のスタートを切って6年間、税務課資産税係のお仕事に携わってきました。その中でとても大切だと思ったことは、何より根拠法令にあたるということでした。加えて、周辺領域に関心を持つことも大事だと考えています。農業振興課や道路課、都市計画課には足繁く通い、よく教えを乞うていました。また、窓口に不動産業者の方が来られることも多かったので、宅地建物取引士の資格も取得しました。相続税や不動産取得税なども関連することもありますし、課税のみならず徴収のことも知っておくべきでしょう。
この仕事に限らず、公務員の仕事は限りなく広がりがあるものだと感じています。日々是勉強。このスタンスは職業人として欠かせないものだと考えています。
最後は若干説教臭くなってしまいましたが、ようやくこれで「固定資産税課税というお仕事」は終了となります。長らくお付き合いいただきまして、ありがとうございました。(おわり)