こんにちは。大阪市の「があ」です。
年度が替わって、人事異動で新しい仕事についた方。いかがお過ごしでしょうか?
私も4年ぶりに異動して、また新しい仕事につくことになりました。
新しい仕事につくと、覚えないといけないことが一杯なうえに、仕事は待ってくれないということで結構なプレッシャーがかかります。
そんなとき、前任者やその仕事についていた人の優しい言葉は、仕事の引き継ぎよりもメンタル面で本当にありがたく思います。
先日、初めて生活保護ケースワーカーになった人に向けた30分講座をオンラインで話す機会をいただきました。
生活保護ケースワーカーは新しく仕事につく中でも、前知識がないと「どうしよう」と動揺してしまうような仕事です。最初の戸惑い、悩みをスムーズに乗り越えるために、私が「新しく生活保護ケースワーカーになる人に知っておいて欲しい3つの心得」を今回はご紹介します。
心得1「ケースワーカーは『沿道のサポーター』」
「生活保護手帳」には、ケースワーカーの仕事の一つとして、利用者(被保護者)への助言や生活指導が書かれています。ケースワーカーになると、標準で80世帯の利用者を担当することになるので、どうやって助言や指導をしていけば良いのかが結構な悩みどころ。
助言や指導というと、まるで先生やコーチのようなイメージを持つかもしれませんが、むしろマラソンや駅伝ので走っている人を沿道で応援するサポーターのようなイメージがいいんじゃないかなぁと思っています。
なんたって、私たち公務員は数年置きに人事異動や担当替えがありますので、多くの場合、その人が生活保護を申請して、最後に自分の力で歩き出すまでの全てに関わることはできません。
その人の長い人生を走っている沿道から、頑張れ~と声をかけたり、給水所で水を差し出すような、そんな距離感で寄り添いたいと思います。
心得2「多職種・他職種の連携が仕事を支える」
利用者を応援する、支援するには福祉だけに限らず、幅広い知識が欠かせません。
生活保護だけでなく、介護保険や税金などの役所の仕事はもちろんのこと、医療だったり、負債の整理だったり、子育てだったり、色々な問題・悩みを利用者から聞く度に、「僕(私)に知識がもっとあれば」なんて思ってしまいがちです。
いやいや、無理ですって。
「餅は餅屋」なんて言います。介護保険課、税務課、児童福祉課……それぞれ部署にもあなたよりもその分野に詳しい職員がきっといます。役所にない分野でも見渡してみれば、あなたの助けになる人がきっといます。
利用者からの相談に全て答えられるような人が、すごいケースワーカー……ではありません。私が思う「すごいケースワーカー」は、自分ができない、分からないことを知っている人物です。
福祉分野では「多職種・他職種連携」という言葉がいつも話されますが、難しいことを考えず、分からないことは分かる(分かりそうな)人に聞くというのが多職種・他職種連携の第一歩で、ケースワーカーの大切な仕事です。
心得3「自分自身の感情・苦しさを吐き出すのも仕事」
ケースワーカーは担当地区や担当ケース(利用者)を受け持つため、個々の利用者との面接や支給決定、他の部署との調整事項など、ケースワーカー個人に紐付けされるものが多い仕事です。
順調に仕事をこなせている時は良いのですが、うまくいかないときはやはりケースワーカー個人で抱え込んでしまいます。
何しろ、生活保護の情報は繊細な個人情報が満載の仕事です。仕事で悩みを抱えても、家に帰って家族に話すこともできなければ、同僚とお酒を飲んで愚痴るなんてこともできません。
なので、悩みを抱えてしまう前に、自分自身の感情・苦しさは可能な限り同じ仕事をしている同僚に吐き出すようにしましょう。あなたの周りにいるケースワーカーはきっと同じような苦しさを経験しています。
生活保護の仕事は個人でやるように見えて、チームワークで支えあう仕事です。
自分自身の感情・苦しさを吐き出すことも、あなたにできるケースワーカーの仕事なんですよ。
覚えなきゃいけないことも、辛いこともあるかもしれませんが、幅広く人の生活に関わるのがケースワーカーの仕事です。
慌てず、悩んで、しっかり吐き出して、「みんなで支え、みんなで笑う」そんな仕事をしていきましょう。
新人ケースワーカー、頑張れ~!