土木事務所管理Gの仕事-道路編― | 隣の公務員

土木事務所管理Gの仕事-道路編―

前回の土木事務所でのお仕事概要編に続いて、道路編です。
前回の記事はこちらです。

道路の許認可事務

道路の許認可は、道路の施工承認と占用許可に分かれます。根拠法令は道路法です。道路の施工承認の場合も、占用許可の場合も、申請者は警察協議と呼ばれる警察への道路使用許可の申請が必要なことが多いです。

また、職員は、許認可に伴い、道路工事後の舗装復旧範囲をきめる面積立会(めんせきりっかい)と呼ばれる立ち合いを行ったりもします。

都道府県が管理する道路は、国道の大部分と都道府県道です。市の道路は、私道と区別して「市道(いちどう)」と呼んだりしていました。自分が管轄する道路かどうかの見極めは案外難しいです。一応、道路台帳という道路の幅(幅員(ふくいん)といいます)等が記載された図書があるのですが、古いものだといまいちよくわかりません。道路の一部だと思って管理してきた土地が、実は水道用地だった、なんてこともありえます。

道路の施工承認(道路法第24条)

施工承認とは、道路の工事をすることを民間の事業者に認めることです。

道路工事といえば、行政がやっているイメージが多いですが、たとえば、歩道の切り下げをしたい、などというときに、この施工承認申請が出てくることが多いです。

歩道の切り下げって何? と思われる方がいらっしゃるかもしれませんね。簡単に説明します。

歩道には2種類あり、昔は車道に比べて歩道が高いという作りが普通でした。(マウントアップ型と言います。)そのため、歩道の高さに合わせて駐車場を作ると、車道との間に15㎝ほどの段差ができてしまいます。

このままだと、車が道路に降りにくいので、段差を取り除き、ゆるやかな坂にするのです。そして舗装も、車が通れるように整えます。

今は徐々にセミフラット型の歩道(歩道と道路の高さに差があまりなく、ほぼフラットで、道路と歩道を仕切る縁石だけが高い)が増えたので、切り下げが不要なところも増えてきているかもしれません。

道路の占用許可(道路法32条)

占用許可とは、水道管や下水道管、ガス管、電柱、電線、足場等の本来道路の機能としては不要な工作物を、道路に設置する許可のことを言います。これらは、施工承認と異なり、工事で設置された後、撤去されるまで道路上に残る(=道路を使用する)ことになります。そのため、原則として占用料が課されます。

また、占用物として許可されるものは、法第32条及び道路法施行令第7条に該当するものでなければならず、かつ道路に設置することがやむをえない場合で、基準に適合するものでなければなりません。

大阪府の場合、実際の許可にあたっては「大阪府道路占用許可基準」に従って、判断をすることになります。これは、府の道路担当の必携書です。

http://www.pref.osaka.lg.jp/joho-kensaku/index.php?site=shinsa&pageId=1106

新採の時には知らず、先輩から怒られて知ったのですが、上のリンクにも記載されている通り、府の場合、道路占用許可の標準処理期間は警察協議を含めて、21日間です。手続き期間が超過しないように気をつけてください。

管理

道路に関する苦情で多いのは雑草と、電灯が切れている、落下物がある、というもの。大阪府の場合は予算の制約もあり、除草は年に1回等の決まりがあり、対応に苦慮しました。場合によっては、職員自ら草刈りに行くことも。電灯が切れているという連絡は、電灯のLED化によって現在は減っているかもしれませんね。私がいたときは、LED化したばかりだったので、逆に「電灯が明るすぎて寝られない!」というお怒りの電話をよくいただきました。落下物については、前回記事にもした猫を含め、色々と拾いに行きました。ごみの不法投棄も多かったです。道路に面する斜面(法面「のりめん」と読みます)や、山の中の道路などは、特によくごみが捨てられていました。現場に出かけることが多いので、土木事務所では運転免許があると重宝されます。また、日ごろから落下物や陥没等の道路の異常がないかの道路パトロールも行っています。

振動や騒音といった苦情は、道路の構造上、対応が難しいことが多いです。できないことが多い中、どのような対応ができるか、どのようにご説明するかが、とても難しかったです。

苦情が辛いな、と感じたら、こちらの記事を読んでみてください。少しでも気持ちが軽くなれば幸いです。

その他、私は担当していませんが、交通事故を起こした人への対応もあります。道路上で交通事故があり、道路の構造物が破損した場合、事故を起こした人に復旧してもらう必要があるのです。道路の構造物は意外と高いので、保険に入っていらっしゃらない場合などは大変で、なかなか復旧に応じてもらえない場合もあり、担当者は大変そうでした。

また、タイミングによって、道路の供用開始の告示、用地の交換、大型店舗の開発時の際の協議等を行います。

終わりに

土木事務所の管理Gにおける道路の事務の概要についてご説明しました。次回は河川について、説明していきたいと思います。少しでもご参考になれば幸いです。

この記事を書いた人:編集長
編集長

隣の公務員管理人、キャリアコンサルタントです。スーパー公務員でもなんでもない普通の公務員を10年間、全うしました。令和4年3月に外の世界を見てみたいという謎の理由で退職。4月より子育て支援系スタートアップで経験0から人事に奮闘中。今、一番欲しいもの:有給と賞与と人事の能力。

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