【もやもや公務員女子相談室】 女性管理職、なりたい派VSなりたくない派―村川美詠さん#3

【第4話のもやじょ】

30代・新婚3ヶ月

30代・第一子育休中

60代・再任用2年目(娘息子各1は社会人・独立)

のもやじょ3人がメインで美詠さんのお話をお聴きしました。

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  女性管理職を増やせば職場が変わる!

もやじょ:美詠さんの著書(「自分もまわりも上手くいく!公務員女子のおしごと帳」)の中で、「意思決定の場に女性を増やす理由」が次のように書いてありました。(気になる方は36ページを)

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「例えば、10人グループで「今年の旅行どこ行く?」となった時、「海に行きたい」という人が9人で、「山に行きたい」という人が1人なら、当然のように海に行くことになる。「山」が2人でもたぶん海に行く。だけど、それが3人になると「山に行きたい人もいる」ということが伝わり、4人になると「どっちに行く?」という対話が始まる。その結果、「海も山もあるところに行こう」ということになるかもしれないし、「今年は海だけど、来年は山ね」となるかもしれない。

意思決定の場に女性を増やすということは、そういうことだという話です。確かに、まちの大事な意思決定の場に女性がいないと女性の意見を届けることができません。

まずは女性が組織を、社会をよくしようという思いをもって、多様な意見をテーブルに出そうと意識することです。それを重ねているうちに、アクセルを踏み出す力がついていきます。そんな女性の数が増えれば、世の中は変わっていくはずです。

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この例えがとても分かりやすく、ものすごく腑に落ちました。

役所の中でこれを実現するのに、1番ハードルになっていることは何だと感じていらっしゃいますか?

美詠さん:「私には関係ない」と思っている女性の意識だと思います。

もやじょ:まさか、女性自身の意識だとは思っていませんでした。

先日、日本のジェンダー・ギャップ指数が過去最下位という報道もありました。特に、政治や経済分野の意思決定層に女性の参画率が低いということですが…。

美詠さん:1985年までは、求人をする際に、男性と女性の採用数に差をつけて募集することが認められていました。だからこれまでは管理職候補となる女性がいなかったんです。

今はその数がいます。5年すれば変わりますよ。

その時に女性自身が粘れるか。「夫の収入もあるし…。」「(仕事が)ちょっと大変だから…。」と諦めてしまわないかですね。

もやじょ:今、管理職になっている女性は、男性管理職の女性版という印象です。

役所の中で、まだ男性の理論に抑え込まれていて、積極的に発言が出来ているという印象ではないと感じます。

美詠さん:絶対、数です。数を増やすことが大切。

  女性が声を上げることが大事

もやじょ:職場で女性ならではのモヤモヤを感じた事はありますか?

美詠さん:モヤモヤだらけです(笑)特に、会議の場などに女性一人、みたいな場面は残念な気持ちですね~。かつてはお茶くみが仕事の一環のようだったこともありますよ。

もやじょ:そうでしたね。朝10時、お昼、午後3時にお茶を淹れて…。

美詠さん:「誰がどの湯呑で…。」とか「この人は、コーヒーにクリープとお砂糖」とか覚えていましたね。

もやじょ:同じです(笑)多分、美詠さんや私の世代は一番変化を経験してきた年代ですよね。

もやじょ:お茶くみのお話が衝撃的でした。聞いたことはありましたが、本当にそうだったのだなと。

声をあげていかないといけない、声をあげることで変わっていくのだろう、と思いました。

美詠さん:上野千鶴子さん※1が、伊藤詩織さん※2の件で、「私たちが声をあげてなくて申し訳ないと思った」とおっしゃっていたのが印象的でした。

もやじょ:言い続けないといけないですね。私たちにはその責務があると感じました。

美詠さん:大事なことだと思います。

もやじょ:この活動(もやもや公務員女子部)を始める時も、「公務員は世間的には恵まれているのに、声をあげるのはどうなんだろう。叩かれてしまうのではないか。」と不安がありました。

美詠さん:叩かれるのも見える化したら良いですよ。先ほど、意思決定の場でお話したのと同じく、数の問題ですから。今は意思決定の場に男性が多いから、会議の場などで「結論から言え」と言われますね。女性管理職が増えれば、「過程を詳しく教えて」になるかもしれない(笑)

※1上野千鶴子さん

 (うえの ちづこ、1948年7月12日 – )は、日本のフェミニスト、社会学者。専攻は、家族社会学、ジェンダー論、女性学。東京大学名誉教授。
2019年4月の東京大学入学式での祝辞は未だに残る性差別に触れ、その上で新入生に対し、自らの能力を自分のためだけではなく、機会不平等が残る社会において恵まれない人々を助けるために使うことなどを呼びかけ、大きな反響を呼んだ。

※2伊藤詩織さんの件

 フリージャーナリスト、映像作家の伊藤詩織さんが、「TBSの政治部記者山口氏から望まない性行為で精神的苦痛を受けた」として、1100万円の損害賠償を求める民事訴訟を起こした。裁判は双方の訴えを同時に審理、伊藤氏側の請求を認め、330万円を支払うよう山口氏に命じた。この事柄をめぐり、SNSでのハッシュタグ#MeTooは大きな広がりを見せた。

  私が考える管理職の魅力

もやじょ:いま私は、第一子の育休中です。私は、管理職に魅力を感じません。これから子育てもしていく中で、昇任試験の勉強をする気になれません。美詠さんが思われる管理職の魅力をお聞きしたいです。

私にとってそもそも試験と評定で狭き門ですし、管理職は、「大変そう」という印象です。大変そうだと思う点を書き出してみたら10個もありました(笑)

美詠さん:とても大変そうだと感じているのですね。私が考える管理職の魅力と合わせて、できる限りひとつずつお答えしていきます。

もやじょ:そもそもの話ですが、管理職になるのも狭き門で大変そうです…。

美詠さん:諫早市は昇任試験ではなく選考なので、昇任のための試験勉強をしたことはないですが、「何のために」が見つからないと勉強の意欲はわきませんよね~

もやじょ:わきません(涙)今日は、美詠さんのお話をお聞きして、「何のために」を見つけたいです。

続いて、自分は手を動かせないのに、わかりやすく説明するって大変そうだなと思います。

美詠さん:確かに事業の細かい部分について、自分で手を動かす部分は少なくなるかもしれませんが、物事を大きく「変える」ことは管理職の方がよりやりやすいです。

もやじょ:そうなんですね!

働き方改革により、管理職は、以前にも増して、上司と部下との板挟みになっているように見えます。

美詠さん:私は、上司と部下との「板挟み」というよりは「通訳」になろうと思っています。

もやじょ:「通訳」と捉えると前向きになれそうです。

部下を評価するって荷が重そうです…。…。

美詠さん:部下の評価は基本「いいとこ探し」でやっています。

もやじょ:なるほど。即座の判断が求められる場面が多くて、大変ではないですか?

美詠さん:入る情報が多くなるので、かえって判断はしやすくなります。

もやじょ:そうなんですね。発言一つ一つが重くて大変そう…。

美詠さん:確かに、「課長が言った」となるので注意は必要です。

もやじょ:なるほど。実は時間外にも仕事関係の何かをしなくてはならないんじゃないでしょうか?

美詠さん:生涯学習課も障害福祉課も関係団体が多いので、休みにそれぞれの行事に顔を出すことが多いですが、こまめに顔を出すことで味方も増えます。

もやじょ:色々工夫をされているのですね。完全未知の分野が多いにも関わらず、勉強したり実情を知る期間が短く、早急に対応や説明を求められて大変ではないですか?

美詠さん:先ほどこまめに行事などに顔を出すとお話しましたが、現場に行くことが一番の勉強になります。異動して最初にすることは、現場を訪ねて現状を把握することです。

もやじょ:たくさんの質問に答えて頂きありがとうございます。管理職の魅力がだいぶ分かってきました。

もやじょ:管理職への心のハードルが少し下がりました(笑)

  「理想の職場をつくりたい」から管理職を目指した 

もやじょ:私は、今は再任用職員ですが、実は課長をしていたことがあります。美詠さんが管理職を目指すきっかけは何だったのでしょうか?「私は管理職を目指す!」とどこかのタイミングで決められましたか?

美詠さん:「こんな職場だったらいいな~」と思う職場を自分が作りたいなと思ったことがきっかけです。

私は、課長補佐が長かったのですが、課長の補佐の立場なので、思ったようには動けない感じでした。

もやじょ:美詠さんの著書にもありましたが、私も課長補佐の時は課長を見て、「自分には課長なんてできないなー」と思っていましたが、課長になってみたら案外できましたね。

美詠さん:そうですよね。後は、男女共同参画課にいる時に、「意思決定の場に女性を増やすことが必要だ」と感じたことも大きかったですね。

昔は男みたいな女性課長が多かったのです。女性ならではの仕事ぶりではなくて、男性と同じ仕事のやり方をしている方ばかりでした。

私は、「会いにいけるアイドル」みたいな課長になろうと思ったのです。

もやじょ:「こんな職場だったらいいのに」という職場を自分が作るという視点はなかったので、前向きな視点を教えていただけました。

でも、やっぱり子育てしながら管理職は大変そうだなあとも思ってしまいます(涙)

美詠さん:その時になったらできるのではないでしょうか。課長になると、本人の覚悟もできるし、情報が入ってくるし、勉強する時間もありますよ。

もやじょ:管理職と一般職員だった頃の一番の違いは何ですか?   

美詠さん:入ってくる情報が多いこと。そして、自分のペースで仕事ができることです。

  管理職は「聴く」ことを第一に

もやじょ:私は以前から管理職志向があって、なりたいと思っています。

美詠さん:おお、素晴らしいですね。先ほどお話したこととも重なりますが、管理職の方がやりたいことが自由にできるので、ぜひなった方が良いですよ。

もやじょ:管理職になるために、若手の頃から心掛けておくこと、勉強しておくこと、身につけておくべきことがあれば教えて頂きたいです。

美詠さん:管理職になったら、「聴く」ことが大事なので、第2話で少しお話しましたが、コーチングのスキルなどを身につけておくと楽です。

もやじょ:具体的に「話を聴く」ためのポイントを教えていただけますでしょうか。

美詠さん:話をしていても、聴いているようで聴いていない人もいますね。

もやじょ:わかります。自然に流す人、います!

美詠さん:そういう時は質問をするのです。「~というと?」とか。相手が気づかないポイントを気づかせることができますよ。

もやじょ:なるほど。どうしたらそんな風にコーチングスキルを身につけられるのでしょうか。

美詠さん:訓練ですね。私は産業カウンセラーの資格を取得しました。費用は20万円位かかったし、講義や実習が70時間以上もあって大変でしたが、勉強することはとても良いことだと思います。コーチングの講座の中に、受講生同士で悩みを聴くという実践練習がありました。ただ聞けば良いのではなく、本人が答えを持っているので、それを引き出していきます。

職場で雑相(ざっそう)という取り組みをしています。課長の私がファシリテーターとなり、部下たちに「どうしたらいいと思う?」と聞きます。課長の私が答えを出さないようにしています。

もやじょ:いいですね。通常は、部下が課長の持っている答えを探そうとしているように思います。

もやじょ:美詠さんが思われる、「こういう人が管理職になりやすい」もしくは「こういう人こそなってほしい」というお考えがあれば、教えてください。

美詠さん:人の話を聴ける人でしょうか。役所の中は、上司が相談しにくい雰囲気があると思います。これでは若い人のメンタルがついてこないです。課長が自ら部下の中に入っていく方が早いと思っています。

仕事を見える化して、ひとりに集中してつぶれることがないようにしています。部下にも「すぐ白旗を挙げて」と言っています。そうすれば仕事を分担できますから。

【もやもや公務員女子相談室】仕事は45歳からが面白い―村川美詠さん#4
へ続く

【インタビュアー】

もやもや公務員女子部インタビューチーム

ようちゃん(東京)
みほ(東京)
ふーみん(東京)
けい(東京)
まい(栃木)

※各トピックは、複数の方からの質問を集約・分割しています。

※各話のもやじょプロフィールは、インタビュー時点(2019年12月)のものです。

この記事を書いた人:もやもや公務員女子部

もやもや公務員女子部

「もやもや公務員女子部」(通称:もやじょ部)はholg発の公務員女子限定の非公開facebookグループとして誕生しました。公務員女子の働き方、キャリアプラン、生き方など日々のモヤモヤを吐き出し、新たな一歩に変えていく場です。 もやもやを発信し、ほっと一息つくとともに、逆境を力に変えやりたいことを行動に移す人を応援します。

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