「地域活動」のはじめの一歩 | 隣の公務員

「地域活動」のはじめの一歩

 こんにちは、堤@小金井市です。
 特集「私の第一歩」に際して、私からは、よくご質問いただく「地域活動」のはじめの一歩について書いてみようと思っています。

「だまされたんだよ(笑)」

 私は、地元の東京都小金井市で、薬物乱用防止のボランティア活動「子ども達を薬害から守る実行委員会」の事務局をはじめとして、だいたい8つぐらいの活動をやっています。
 拙著や連載の中でも、私はしばしば地域活動について触れるからでしょうか、「興味があるけれど、どうやって始めたらいいかわからない」という方から「どうやって始めたのですか」との質問をよくいただきます。

 高い志を持って始めたとか、何かすごいきっかけがあったとか、きっとそうした答えを期待しての質問だと思うのですが、正直に「だまされたんです(笑)」と答えています。
 もう20年前になりますけど、転職して市役所に入って半年経った頃、お世話になっていた職場の先輩から「プロジェクターの操作できるよね? 手伝って。楽しいイベントだから」と、よくわからないまま拉致?されたのがきっかけでした。当日は、朝から働いて、自然な(強引な?)流れで打ち上げにも参加して、気付いたらメンバー扱いとされていたのでした(;^_^A 

 この「だまされたんだよ(笑)」というセリフ。実は、地域活動をやるような人の多くが口にするセリフです。しかも、そう言いながらなんか楽しそうなんですよね。だから、懲りずに、また「だまされて」輪が広がっていきます。
 私の場合も、薬物乱用防止活動から、地域でのイベントの実施等と広がっていきました。すべてはやりきれないので、8つ程度に絞っています。

 よいご縁は、またよいご縁を連れてきます。キャリアの世界では、それはジョン・F・クランボルツ教授が提唱する「計画された偶発性理論」として説明されます。
 あなたが、オープンで、好奇心が旺盛で、楽しい人で、でも頼んだことを責任感を持って引き受けてくれる人物ならば、きっと誰かが声を掛けてくるでしょう。信頼する誰かから誘われたとき、そのときが「第一歩」を踏み出す機会だと思います。

「自分らしく居られる場」の大切さ

 私が、薬物乱用防止活動を続けているのは、もちろんそれが大事だと思っているからです。
 子ども達を取り巻く様々な危険のうちでも、麻薬等の薬物は最悪のものの一つです。「治らない」(その誘惑と一生戦い続けることになる)という意味でも、また、近年は誘うのが「友達」であり断りにくいものであることからも、「取り返しのつかない」危険があるものです。
 そんな思いを、小金井市ではしたくない/させたくない、そう思って私たちは活動しています。

 けれど、何で活動に参加し、今も続けているのかと問われれば、その一番の理由は「自分らしく居られる場だから」だと思っています。仲間と場がステキだからです。メンバーと一緒のときもそうですが、イベントの雰囲気も含めて。
 活動の意義・内容は大事ですが、それを一番に活動を続けている訳ではないというのが正直なところです。活動から入って四角四面にやっても面白くないし、人間関係がよくないと活動はうまくいきません。
 なので、最初は「自分が信頼する人から誘われた」というのがいいきっかけだと思いますし、そうでなくても「好きな雰囲気のイベントがあるので、それを手伝ってみた」みたいな始め方がスムーズで楽しいと思います。

「好きでやってること」だもの

 地域活動は、市職員として行う業務とは関係ないものです。ボランティアでやっているものですから、いつ辞めてもいいものですよね。
 でも、実際には何年もやっていると責任というか周囲の期待もあります。半端にぶつかって辞めてしこりを残しても、相手も自分も住み続けている訳ですから、あまりいい感じがしません(;^_^A

 だから、薬物乱用防止にしても、自分がどの部分を好きでやっているのかを自分の中ではっきり持つようにしています。
 それは活動内容の場合もありますが、私の場合、多くはメンバーへの思いです。「○○さんが○○をやりたいっていうから、一緒にやろうか」とか、「○○さんにはお世話になったから、その恩返しをしたいな」とかです。
 そうした思いを意識できていると、何らかの事情で途中で抜ける必要ができた場合でも、「ここまではやってから」とか「ここまではできたから」と判断しやすいです。それがないと、ズルズルと全てが中途半端になって、自分自身がそれに一番嫌気がさしているなんてことになりがちです。

 地域活動は「好きでやっているもの」だから。
 そこをよく自覚するようにすることが、とても大事だと思ってます。

 地域で活動していると、仲間や知人が増えて、そうした関りも増えて、その中での自分らしい過ごし方・動き方もわかってきます。地域と自分が馴染んてくる感じです。自分と地域が一体として感じられるようになってきます。
 自分のまちが、そのいろいろな難しさを含めて、それでも好きになってくる。自分事になってくる。その感じが好きです。また、市職員として働く上でその感覚と関係ってすごい財産だなといろいろな場面で実感しています。

 それを面倒と思うか、楽しいと思うか。人間関係には面倒なところもありますから人それぞれかもしれません。
 でも、誰もが地域で生きていて、まして私たち公務員は地域のために地域の中で仕事をする職業です。仲間がいて関係の中で生きていることが実感できて、その豊かさを楽しめると公務員としての人生が何倍にも広がったようで楽しいですよ! ぜひ、そんなご縁を大事にしてみてください!

この記事を書いた人:堤@小金井市
堤@小金井市

小金井市の堤と申します。30歳前に転職して約20年。いきいきと働く生きる公務員でありたい、そうした人たちを応援したいと思って、『公務員の「異動の教科書』(学陽書房)といった本を書いたり、キャリアコンサルタントとして活動したりしています。よろしくお願いいたします!

関連記事

  1. 時間がかかった一歩目があるから今がある

  2. 自分の選んだものを正解にするかは自分次第

  3. 年俸120円Jリーガーの生き様が問う「自分の在り方」

  4. 写真(婚姻届のサンプル)

    元号が変わった今だからやるといいこと

  5. 【もやもや公務員女子相談室】 女性管理職、なりたい派VSなりたくない派―村川美詠さん#3

  6. 【もやもや公務員女子相談室】 美詠さん流公務員仕事術―村川美詠さん#2