4月は「異動」の季節。
公務員に「異動」は付き物ですが、毎年、その時期にはドキドキします。
まして、初めての「異動」となれば、なおさらですね。
ご縁あって『公務員の「異動」の教科書』(学陽書房 2017年)という本を書きました。
そのためか、読者や若手の方から「異動」についてのご質問・ご相談をよくいただきます。そうした際には、特に次の3つのことを意識するとよいとアドバイスしています。ご参考になればと思い、まとめました。
1 職場に馴染む
まず大事なことは、職場に馴染むこと。
そのためには、メンバーの名前を覚えて自分から挨拶すること。初日から自分ができることを探して働くことが大事です。
公務員の仕事は組織で行うもの。メンバーからチームの一員であると受け入れられなければ、どんなに能力が高くても発揮するのは難しくなります。気持ちよく仕事をするための基本は、人間関係です。
自分から、名前を覚え、明るく挨拶して、働くのが一番大事です。苦手なタイプの人、会計年度任用職員や委託業者の方も含めて、一人ひとりに関心を持って、礼儀正しく接することができるといいですね。
挨拶が苦手だという相談もよくいただきますけれど、大丈夫。職場も皆さんを受け入れたいと思っていますから。
職場には、その職場ごとの雰囲気やペースがあります。自分から挨拶して職場の輪の中に入ることで、雰囲気やペースにも早く馴染むことができます。
2 しっかりと引き継ぐ
その次に大事なことは、しっかりと引き継ぐこと。
「異動」に伴うトラブルでは、引継ぎに問題がある場合がとても多いのです。
前任者からの業務引継ぎは、十分な時間を取ってしっかりと受けましょう。
年度当初のドタバタの中で短い時間になりがちです。ただ、相手の説明を聴いているだけでなくて、質問してポイントをつかむようにします。
引継ぎでは、①課や係の概要、②担当業務の根拠、手順、文書、よくあるミス・トラブルとその対処法を押さえるようにします。
若手への引継ぎでは、業務の概要をざっと伝えて、後はOJTの中でということも少なくありません。その場合でも、前任者・先輩に話を聞き、そのポイントを自分なりにまとめて理解するようにしておくとよいです。
3 「2か月で覚えろ、3年先を見据えろ」
「2か月で覚えろ、3年先を見据えろ」。
この言葉は、私が入庁4年目で最初に異動する際に、メンターと尊敬するYさんからいただいたアドバイスです。そのときは「鬼か」と思いましたけれど。
私たち公務員は概ね3年程度で異動していきます。「1年目は教わったとおりに」なんてペースで仕事をしていたら、あっという間に3年経ってしまいます。
2か月で業務を覚え、自分がいる3年間で何をどこまで進めるかを考えて動いていくことが、異動の中で実績をあげるための鉄則です。
実際には、なかなか難しく、私も最初の異動では3か月かかりました。
「わかった」つもりでも、理解できていないところや状況の変化があるので、3年先の見通しは変わっていきます。
でも、一度自分なりに業務の理解を固め、3年先の見通しを立てておくことの意味は大きいです。係長や管理職になると、この積み重ねが本当に役立ちます。
以上、いかがでしたでしょうか?
私の最初の異動は、散々でした。しかし、この3点を大事にしていたことが、2部署目で自分なりに手応えを感じながら仕事ができたことにつながったと思っています。
拙著 『公務員の「異動」の教科書』 では、異動の中で経験を重ねて、自分らしく働いていくために必要なことを5つのステップに分けて説明しました。
誰もがだんだんと、異動の中で自分の強みを磨いて自分らしく働いていけるようになっていくのだと思います。最後に本の宣伝のようになってしまい恐縮ですが、興味がありましたらお読みいただけたら幸いです。